ドル/円、クロス円はいつも急落。その原因(理由)をまとめてみました...
■ 金利差
チャートはNZD/JPYの週足。 金利差狙いのクロス円の代表格として挙げました。
(赤丸実線:下記理由をすべて含む大きな下落 赤丸点線:正常な調整的要素からなる小さな下落)
図で表示された期間中だけをみても、日本との金利差は最低時でも6.5%と極めて大きく、もちろんこの金利差は世界中どこで売り買いしても同じ、JPYを売ってNZDを買う行為自体に付帯するため、皆NZD/JPYのロングは、なるべく長い期間の保有を望みます。
逆にNZD/JPYのショートは日々スワップを払うというのも全世界共通。
従って、このショートポジションはなるべく短期間のうちに処分(途転)しなければなりません。(為替差益ののっていないマイナススワップのポジションを保有し続ける...シンドイのはプロも素人も当然関係ありません。)
これが金利差の大きい通貨ペアのチャートが「ダラダラと上昇しドカンと急落」という形になる理由です。
■ バーゲンセール
ちょうどいいデータがありました。 某大手FX専業の業者が提示している、顧客の売買比率推移を示したデータです。(必要な方はメール頂ければ案内します)
そのデータ内GBP/JPYの売買バランスを例に挙げると、7/24に買いもちが 61.8%→72.4% と一日で10%以上も跳ね上がっているのが見て取れます。
その両日のチャートを見ると。。。その日は7/23の最近の高値をつけた次の日で、大きな陰線が示現しています。
つまり、じりじり上昇していくGBP/JPYに乗り遅れた人が、大きな下落を押し目のチャンスと考え、値ごろ感で飛び乗ったように推察されます。
その後も急落するレートと相反するように、GBP/JPY(日本人)のロングポジションが積み上がっていく様子も、きれいな逆相関として確認できます。
このバーゲンセールにも似た建玉、軽いポジションが、次に紹介するストップハンティングの格好のターゲットになるのです。
振り返れば、2006年の為替相場からそんな感じでした。
円さえ売っておけば誰でも儲かるという、今振り返れば円キャリートレードの最盛期でしたが。。。
これは、キモノトレーダー(FXに目覚めた日本人投資家の総称)によるバーゲンセールによるものでした。
当時を思い出すと、その動きはリスク管理を考えること自体バカバカしくなるほどで、『そろそろ調整売りがはいるぞ』と注意する感覚が徐々に薄れていったことを憶えています。
■ ロスカット
パニックによると思われる、通常売りたくない局面での「投売り」と、ハイレバによる資金不足、+追証振込みが間に合わないために起こるロスカット。
最悪なのは、そのロスカットによるレートの急落が、次のロスカットを引き起こすという悪循環で、
これにより想定外の急落が産み出されることです。
まともな?投資家達はこれをケアするために、必要以上にレバレッジを抑えることを余儀なくされました。(=資金効率の劣化を意味します。)
ストップを入れないのであれば、各通貨ペア毎、あるいは任意の期間から計算されたボラティリティ(変動幅・偏差)により設定された、適正なレバレッジ内に抑えるべきです。
カーブフィッティングによる安易なシストレに走るのは、少なくともこういった基本的な知識を身につけた後ではないでしょうか。
■ ストップハンティング
ストップをつけ合うのが今の相場。クロス円をハイレバでロングしている高値掴みのポジションなどは、まさに鴨ネギ以外の何ものでもありません。含み損が積み上がるに従い、その対応策は減少して行き、最後は「祈る」という方法以外なくなっていくのですから。
もちろんストップをつけに行く作業自体が、大相場の最終局面での順張りになりますので、つけ損なうと逆にしっぺ返しを食らいます。オプションの防戦売り(買い)もそのひとつ。
各通貨ペアで重要なチャートポイントがブレイクすると、大きく一方向に進むのは、この逆指値(ストップや順張りのポジションメイク、途転)が集中しているせい。
大きな資金(力)を持つファンド勢がこれを狙うのは至極当然。
これは為替相場の規模が大きすぎるため(3兆ドル/日?)でもあります。
■ シストレ
インフラの整備により世界中でシステムトレード(フルオート含む)が主流となりつつあります。
これ自体がクロス円の動きの直接の原因とは言いきれませんが、一昔前までの、人間の感情だけが相場に大きな影響を与えていた時代とは明らかに違うと思います。(10年前のワークステーションは今のパソコン以下。携帯電話も100人に1人でした。スピードが速いので麻痺しがちですが、ブロードバンドやITバブル崩壊は、最近の出来事ですね。)
システムの稼動が、スイングの振幅や周期を大きくしているということも考えられるのではないでしょうか。
または、今の流行がそういったシステムプログラムに傾倒しているのかも。
■ にわかトウキカの増大
FX業者の過剰サービス(過渡競争⇒自然淘汰へ)により、急激な動きに合わせたスキャルピングがブームとなっているようです。
FX情報商材などでその方法を指南され、日々多くのにわか投機家(トレーダー?)が輩出されているものと思われます。
スキャル自体、勝率は極めて高く、一見テッパンにみえますが。。。
それの是非は賛否両論分かれるところですね。効率が悪く、実は比較的リスクも高め。
長く続けることが困難で、職人技的な要素を含み、万人に向かないのも事実。
これが急落中の加速効果に一役買っているのは確実ですが。(笑)
上記仮説は正しく、先週末すでに終わっていると考えたいところですね。
【過去記事】
FXで破産する人が、なぜこんなにも多いのだろうか? 2/2
FXで破産する人が、なぜこんなにも多いのだろうか? 1/2
2008.09.07 13:00
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