機会=時間を味方につける

西谷健史さん(仮名・男性38歳)
職業 会社員
投資歴 8年
投資資金 300万円規模

 西谷さんは化学メーカーに勤務しながら、老後など将来のための資産形成を目的とした投資を続けている。20代後半に商品先物取引から始めたが、失敗を重ねた結果、自分には向いていないと判断し、現在は為替と投資信託を主な対象としている。為替ではコツコツと地道に利益を積み上げ、これまで「負けなし」というのが自慢。細かいオーダーを入れていくことがコツだという。また、投資を通じて最も感じたことは、その人の本性が最も出るということだ。ご自身も、それまで自覚していなかった性格や行動・考え方の癖を改めて知った面が大きいという。

●西谷さんのこれまでの投資歴についてお聞かせ下さい。

 大学卒業後、地方銀行に就職していた当時は、投資というものに全く興味がなく、自分には無縁のものと思っていました。お金はコツコツと地道に貯めていくもので、マネーゲームのようなものはすべきではないと考えていましたから。それに、まだその頃は銀行や郵便局に預けっぱなしでもいいという意識が社会全体にも、自分にもまだ強く残ってもいました。バブルが弾けてこのままではまずいということを皆感じてはいても、どうしていいのかわからない。それに、元本保証は当然という考え方も染み付いているから、リスクのありそうなものにはあまり手を出したくないという感じで、現在のような株や為替などの個人投資家ブームにまでは発展しませんでした。
 ですが、将来は年金もあてにできないという現実を前にして、自分も考え方が変わり、たまたま勧誘に来た営業マンの勧めで商品先物取引を始めました。

 
●投資の結果はいかがでしたか。

 農産物をはじめ大半の銘柄はやってみましたが、初めての投資ということもあってほとんど営業の方の言うなりになっていたのがいけなかったですね。最初はよかったのですが、自己資金があっという間に目減りしてしまいました。損をすると、まずそれを認めたくないし、きっとこのまま待っていればチャンスがあるという心理も働いて、損切りがなかなかできませんでした。何とか損を早く取り戻したいという心境も、それがかえってマイナスの結果を生むようにもなっていました。
 その後、対面営業という形をやめてインターネット取引にしてからは、自分の判断ですべてできるようになり、かえって成績はよくなりました。人の言いなりになるのではなく、ちゃんと自分で勉強しなければダメだということを身にしみて感じましたから。ただ、あふれるほどの情報をどれが正しくてどれが間違っているのか、選別するのは楽しいけれども大変でした。例えば、産地が地球の反対側あるような農産物をやっていて、「雨が3日間続いた」、「土壌の乾燥が続いた」などといった情報で相場が急激に動くと気が気でないし、やり方を工夫する余地はあったのかもしれませんが、自分にはあまり向いていないと感じました。
 
●それから為替への投資に転向したのですか。

 そうです。為替でしたら、より少ない証拠金で何本もオーダーを入れられますからリスク分散にもなり、そのぶん利益を得る機会も広がります。普段、相場の動きがそれほどなければ、起床後と就寝前にパソコンを立ち上げて、ざっとその日のマーケットの状況をチェックする程度です。相場が動いているときは、日に何度もチェックすることもあります。円高になっても円安になってもいいように、上下それぞれにある水準をターゲットとして決め、そこから20銭刻みでオーダーを入れています。
 最初は1本10万円で計5本、合計50万円という資金でスタートしました。その後、利益の一部でまた別のオーダーを入れていくという形で、コツコツと利益を積み重ねていきました。投下する資金は少なくても、機会=時間を味方につけていくことで、利益を拡大することが可能です。
 その結果、現時点で、商品先物で出した損失の3分の2以上を取り戻すことができました。遠回りしましたが、いい勉強にもなりましたし、比較的冷静だとおもっていた自分の性格が、実は案外そうでもなく、周囲の情報に振り回されやすいという自分の欠点も十分に分かりました。投資は、特に大きな利益や損失を出した際に、その人の本性みたいなものが出ると思いますね。今は情報に振り回されなくてもいいように気をつけて、また勉強し、あらゆる局面を想定して備えておくということを覚えました。

●投資に関して人にアドバイスを求められたらどう答えますか。

 具体的な質問でしたら、自分なりに真剣に考えて具体的なアドバイスをしています。ですが、最後に決めるのも責任を負うのも自分ということは忘れてはならないと思います。情報が多過ぎて、得るよりもむしろ取捨選択のほうが大事である今は、特にそうです。いろいろな情報ソースがあって、ある2人のアナリストが全く逆のことを言っている、あるひとつのニュースに対して、複数のメディアが異なった切り口からみているために受け止め方が大きく違うということが多々あります。そういうときにも、自分の軸足をしっかりと持つことは非常に大切ですし、いつまでもひとつの方針に固執せず、必要に応じて柔軟に対応していくことも重要です。
 それとよく言われていることですが、投資はなるべく早くから始めたほうがいいと思います。若いうちは失敗しても時間が多くありますから、それを挽回するチャンスもたくさんありますし、小額でも積み上げる時間が多いことによって、より軽い負担で利益を得られます。しかし、年齢を重ねていくと時間がなくなるため、失敗は許されないという不安も強まり、リスクを取りにくくなっていきます。すると「イチかバチか」のような行動に出てしまう人が、周囲でも少なくないように感じます。
 
●ありがとうございました。
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